2002年02月25日公開
JR平岩駅前。2001年11月24日(土)早朝。
谷底の集落に朝日がさすまでには
まだしばらく待たなければならない。
駅前の雑貨屋でライターを買って出発。
小学校の裏手から山道に入る。
この碑の下には昔、荷役中に死んだ二頭の牛が
葬られているそうだ。
須合の集落で、生まれてからずっとこの地で
暮らしているというお婆さんが教えてくれた。
よく凍みた朝は足下の枯落葉も霜で覆われる。
山道を抜けると須合の集落に出た。
母屋とは別に、写真のような「蔵屋」を設けて、
収穫した米や野菜を貯蔵するのがこの一帯の習慣である。
(写真提供 タケヲ)
門柱にはまだ校名が残っていた。
「山之坊小学校・小滝中学校山之坊分校」跡。
かつては喚声にあふれていたであろう校舎も、
今は朽ち果て見る影も無い。
校舎脇の桜並木だけが往時を偲ばせる縁か。
(写真提供 タケヲ)
分校跡からしばらく歩くと山之坊の集落だ。
平穏な山村の晩秋風景。
遠く白馬の峰々は既に雪を戴いてはいるが、
散策者は好天に恵まれて汗ばむほどだ。
集落の外れに佇む廃寺。
隣接する社務所は豪雪のためか倒壊していた。
いずれ本堂も同じ運命を辿るものと思われた。
ともあれ、この寺の軒を借りて大休止。
(写真提供 タケヲ)
大峰峠から明星山と日本海を望む。
近くの見晴らしの良い鉄塔下で昼食にした。
旧道はここから道路右手の林の中を抜けて
夏中集落に至る。
(写真提供 タケヲ)
旧道を抜け夏中の集落に出た。
弱っていたのか私のフリースにとまって
離れなかったので一緒に歩きながら浅葱色の
美しい羽を小一時間も鑑賞させてもらった。
(写真提供 タケヲ)
長閑な晩秋の午後。陽射しは暖かいし
「全て世は事も無し」といった風情である。
この付近の旧道沿いには石仏や地蔵などが
散在し往時を偲ばせる。
(写真提供 タケヲ)
蔵屋の軒下にはさまざまな農作物が並ぶ。
この一軒では長ネギの束が日当たりの良い
特等席に陣取っていた。
南小谷と糸魚川の間を結んでいるのは
この一両編成のディーゼル車。
内装は古臭いが、そこがまた懐かしくて嬉しい。
運転音の騒々しさも、一生懸命走ってる感じで楽しい。
(写真提供 タケヲ)
JR平岩駅を朝8時に出発して小滝駅に着いたのが午後3時。たった一駅分を歩くのに7時間ほどかけたことになる。/道中特に大きな見どころがあったわけでもないけれど、なにかと目を楽しませるものを見つけては足を止めて道草食いつつ歩いていくと小滝駅に着く頃にはすっかり夕暮れの気配。/帰路は電車に心地好く揺られて、銭湯に寄って大風呂でこわばった足腰をほぐして、すっかり脱力しての中国料理の夕食では生ビールがこの秋最高に美味かった。その夜はもちろん夢も見ずにぐっすりと眠った。なかなかアジな連休の過ごし方、と自画自賛するのであった。