2000年12月25日公開/2001年2月25日加筆・訂正



僕のお気に入りの旅グッズについてちょっと語らせて頂こうというわけで、今回は「ナイフとその周りのもの」のこと。

<便利な多徳ナイフ>

旅行するならアーミーナイフが1本あると便利、なんてよく言われますが、これは疑いの余地無し!です。

「えぇっと、なんか切るもんないかな」「ハサミハサミ…」ってなことが日常でもよくありますよね?ところがそこが旅暮らしの不便なところで、家で暮らしている時のように必要なものがいつでもどこか手の届くところにある、というわけにはいきません。

そんな時、アーミーナイフをさっと取り出して用を済ませ、さっとポケットに仕舞う。「なんて便利っ!」と思うのはもちろん、「良い道具を身に付けている安心感、使いこなせているという自信」というのを味わうのは非常に心地好いものであります。

アーミーナイフと言うとツールが多いものほど便利だと思われるかもしれませんが、同社の "Swiss Champ" 等に代表されるような超多徳モデルは普通の旅行者には不向き、というのが僕の持論。

たくさんのツールが内蔵されるとどうしても重く分厚くなってしまい、使い心地が悪いのです。ポケットに放り込んで持ち歩くにも、重いわかさばるわで大変ウットオシイ。それでいて実際頻繁に使うツールというのはそう幾つもないというのが現実。

そしてなにより、堅牢さには一応定評があるとは言え、可動部分が多く構造の複雑なアーミーナイフのツールは根本的に「こじる」「えぐる」といった作業には不向きです。そのコンパクトさゆえに大きな力を加える作業にも向きません。

特に缶切り、栓抜きなどのツールは多用するとナイフ全体にガタが来やすくなるように思いますし、使い勝手もお世辞にも良いとは言えません。

そんなわけで僕は Victorinox の "Classic" というモデルをキーホルダーがわりにいつもポケットに放り込んでました。全長約6cmと標準的なアーミーナイフより小さくて、メインブレード(刃)以外にはハサミと甘皮押し、ハンドルに収納された爪楊枝とピンセット、というシンプルな装備。

ツールは多くはないけれど日常で使うには十分で、特にハサミは重宝します。

NZ旅行に限って言えば、缶切りや栓抜き、コルクスクリューなどは自炊出来る宿にはたいてい置いてあるので、必ずしもナイフに装備されている必要はありません。ただ、キャンプ場の共有キッチンにはそれらの道具が無いこともありますし、トランピングの際には絶対不可欠なので、缶切りだけは別に単体で持っていました。

<料理用のフォールディング・ナイフ>

さて、いざトランピングとなると、アーミーナイフでは小さすぎて料理などの際に不便なので、料理用のナイフを別に1本持っていました。

それがフランス Opinel のフォールディング・ナイフ "No.7" です。10年くらい前に購入してずっと机の奥に仕舞っていたのを、最初のNZ旅行の時に引っ張り出して使い始めたもの。刃渡り8cm、ハンドルまで含めた使用時の全長は18cmと、僕の大き目の手にもぴったりとフィットします。

木製のハンドルに真鍮製のロック機構がついています。いや、「機構」などという大袈裟なものではありません。使う時にはハンドル内部に折りたたまれたブレードを引っ張り出し、ハンドルの外周に沿ってロックを回すことで固定します。仕舞う時にはロックの切り込みをハンドルの切り込みにあわせるとロックが解除されるので、ブレードをたたんでハンドル内に収納します。

一般にフォールディング・ナイフは、ハンドル内部のスプリングでブレードを固定していますが、構造が複雑なので使っていて壊れるんじゃないかと心配になったりします。それに比べ Opinel のこのシンプルさはかなり安心できます。

高級なフォールディング・ナイフに比べて非常に安いのも良いです。錆びたり傷がついたりしてもちっとも気になりません。

ブレードが炭素鋼という軟らかい材質なので、切れ味がすぐに落ちてしまいますが、軟らかい分研ぐのも楽です。柑橘類やリンゴなどの酸味の強い食品を切るとブレードが酸化して食品がちょっと鉄臭くなったり、濡らしたまま放っておくと木製のハンドルが膨張して刃が起こしにくくなったり、といったこともありますが、ま、この辺は御愛敬。

バックパッカーズの包丁にはなぜか刃がナマクラのものが多かったし、夕食時などは包丁がなかなか空かなかったりしたので、Opinel は随分重宝しました。他の旅行者にもよく貸してくれと頼まれたものです。

こんな風に、機能を必要最小限に絞り込んだアーミーナイフと料理用のナイフを使い分けて、更に缶切りその他のツールは必要に応じて単体で持つ、というのが僕流のコンポーネントです。そうそう、「タッチアップ用の研ぎ棒」も標準装備してました。

ちなみにここで紹介した Victorinox、Opinel などの著名なメーカーの製品はNZ中あちこちの街で購入できます。

ライフスタイル・旅のスタイルによってナイフとの付き合いもいろいろだと思います。フィッシング、ハンティング、ダイビング etc.…ニーズに応じてナイフを選ぶのも楽しいのではないかと思います。

日本での日常生活ではあまり馴染みの無いナイフという道具ですが、小さなアーミーナイフの一つも手元に置いてみるというのはいかがですか?

<おしまい>