2001年1月25日公開



NZ旅行中にはあちこちでトランピングをしたので、必然的にアウトドア用の調理器具を持ち歩くことになりました。普通にバックパッカー・スタイルで旅行する分にはあまり必要の無い装備ですし、専門用語も使ってますので、トランピングに関心の無い方にはちょっとわかりにくいかもしれませんが、辛抱してお付き合い下さい。

<装備の内容>

基本的な構成は
・クッカー(加熱調理器=ストーブです。主燃料はガス、灯油、アルコールなど)
・コッヘル(鍋や器がセットになったものです。材質はアルミ、軽合金、チタンなど)

僕はこれまでに2シーズン、トランピングをしましたが、いずれのシーズンも使ったのはガスストーブ。EPI や Primus などの製品で日本のアウトドア・シーンでも定番と言って良いタイプのストーブです。

1st.season の装備はNZ現地で購入した Kovea 製の自動着火装置付きのモデル。日本ではあまり馴染みの無い、というかほとんど知られていないブランドのようですが、現地で手に入る他のブランドよりも本体もガスカートリッジも安価だったと記憶しています。たしか本体が$40前後、純製のガスカートリッジが$5〜6だったように思います。

そしてメーカー不詳のアルミ製のコッヘル、このコッヘルにぴったり収納できるサイズの Trangia 製の急須、コーヒーカップとナイフ・スプーンのセットはこれもメーカー不詳のもの、すべて現地のアウトドアショップで購入しました。

僕は非常にお茶が好きで、Hut にいる間は常に紅茶かコーヒーを飲んでいるので急須は非常に重宝しました。

2nd.season の装備は、出発直前に雑誌の懸賞でもらった snow peak の"ギガパワーストーブ「地」(品番 GS-100)"と言うモデル。たしか「世界最軽量」というふれこみで、4本のゴトクを折りたたむとそのまま普通の大きさの紙コップにすっぽり収まってしまうくらいの大きさになります。

軽量化のためか自動着火装置は付いていません。また、風防も付いていないので屋外では風に弱いという欠点もありますが、テントや Hut の中で使用する分には全く問題ありませんでした。

コッヘルはこれもセットでもらった snow peak の"「ワッパーコンボ」(品番 SCS-101)"。楕円形の本体はアルマイト製。蓋と本体にはそれぞれ折畳み式のハンドルが付いていて、蓋はフライパンとしても使用できます。ぴったり収納できるよう設計された樹脂製のまな板が付いているのも便利。

このコッヘルにはさらに「ワッパーカップ」と「ワッパー武器」といういわゆるシェラカップとフォーク・スプーン・ナイフのセットが付いています。これらはすべてチタン製で非常に軽く独特の質感がありますが、使い勝手は普通の合金製のものなどと大差無いようです。更に100円ショップで売っていた竹製のしゃもじを加えました。米を炊くことも多かったので非常に重宝しました。

実際にはこれに30cm四方のキッチンタオル、100円ライター、前回紹介した Opinel ナイフ、缶切りなどが加わって装備全体を構成していたわけです。そして上記すべてをコッヘル本体に収めることが出来ました。機能性とコンパクトさという点では完璧!と自画自賛。

<装備の問題と留意すべき点など>

この装備で基本的には問題はなかったのですが、ストーブの性能についてはやや不満を感じることもありました。ひどく冷え込んだ朝などは、やはりガスの気化力低下による火力不足を感じたのです。

寒冷地用のガスカートリッジを用意していけば良かったのですが、Back Country とはいえまさか夏場にそれほど冷えこむとは思ってもみなかったので…

そう言えばあちこちの Track で会った他のパーティを見てもガスストーブは少数派だったように思います。「Peak1」や「オプティマス123R」、「MSR」などのホワイト・ガソリンを燃料とするストーブを使う人の方が多かったように思います。

ガスカートリッジに関しては、1st. season は Kovea 純製のものがどこに行っても入手できたので問題ありませんでした。2nd. season は Great Outdoor という現地ブランドのガスカートリッジを使用しました。

ストーブ本体とカートリッジは同一メーカーのものを使うように説明書にも銘記されているのですが、1st.season に現地で snow peak の製品を全く見かけなかったことから、純製カートリッジの調達はほぼ不可能に思われました。そのため、心配性の僕は現地に着くまでガスカートリッジの互換性について少なからず心配してしまいました。

しかし実際のところ特に問題はありませんでした。ガス漏れ等のトラブルもまったくありませんでした。

それでも現地でのカートリッジ調達が不安と言う人は、いっそストーブごと現地購入してしまうのが良いかと思われます。

ちなみに大手ブランドでは、Primus と Coleman のカートリッジは少し大きな店に行けば大抵手に入りました。

それにしても、これだけ似たような製品を流通させているのだから、いい加減に統一規格にしてもらいたいもんです。

Great Walks の Hut では、シーズン中はほとんどの Hut で備え付けのガスストーブが使えるので、必ずしも自前のストーブを携行する必要はありません。しかし夕飯の準備で混み合う時などに順番待ちをしなくても調理にかかれるので、やはり持っていれば何かと好都合。

あと、火種については厳重に保管しておく必要があります。

紛失や水にぬらして駄目にしてしまうなどのトラブルに備えて、複数の場所に分けておくくらいの用心深さはあっても良いでしょう。なにしろストーブだけあっても火種が湿気ていたら−よほどサバイバル技術に長けた人でもない限り−温かいお茶一杯入れるにもものすごい労力が必要になりますから。

着火の信頼性から言えばジッポーライターなどが確実で、僕も 1st.season には使っていました。でも普段タバコを吸わない僕にとって、トランピングのためだけにジッポーを持つと言うのもなんだか大袈裟に思えたので 2nd.season には100円ライターとマッチに変更してしまいましたが…

<その他>

食料の持ち歩き方については、よく言われるようにやはりフリーザーパックが大活躍。ミルクティーのための粉末ミルクはプラスティック製の容器に移して携行しました。容器はサイズもいろいろで、現地のホームセンターやアウトドアショップでも購入できます。

水筒は 500ml のペットボトルを常時2本携行していました。

普通に歩く分にはこれで十分でしたが、マイナーなトラックには多い屋内に蛇口の無い Hut、水タンクの無い Hut、それに Hut 以外の場所でのテント泊なども考えると、耐熱ビニール製の折り畳み水筒も必需品と言えます。何しろ水を汲みに外に出るたびにあの Sandfly どもに取り囲まれるのですから…

そうそう水筒と言えば、2nd.season に SIG のボトルのデザインをパクった真鍮製のボトルを買ったのですが、本家 SIG 製と違って内側にコーティングがされていないため、ワインを入れたら酸化して味が変わってしまいました。「安物買いの銭失い」とはよく言ったものです。

以上、調理器具について思いつくままにうんちくを垂れたわけですが、肝心の料理の方はというと、味はともかくメニューは毎回あまり変わり映えがしなかったのです。

長いトラックともなるとそれなりの日数もかかるので、食事のメニューはなるべくバラエティに富んだものにしたかったのですが…自分のレパートリーの狭さを反省した次第であります。

旅とトランピングの食生活の話は、また別の機会に。

<おしまい>