2001年4月25日公開
※本文中の制度・料金等は1996〜1997年頃のものです。
<慢性的故障に泣く日々>
さて、諸々の手続きを済ませ、晴れてカーオーナーとなった私を待ち受けていたのは、相次ぐ故障に気を揉む日々でした。
後で聞いた話では−真偽のほどは定かではないけれど−そもそも
「W.o.F.の残り期限が3ヶ月に満たない車の売買は違法である」 のだそうで、
その点から「厄介モノを体よく売り逃げられた」と考える事も出来なくはない。
でもまぁあまりそんな風にネガティブに考えるのも心貧しい感じがするので、
とことんコイツと付き合うぞ、とポジティブに覚悟を決めました。
ここから先は当時の日記からコメントを拾ってみることにしましょう。
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10月19日
試験走行。Arrowtown まで行く。途中、100km/h をマーク。
10月22日
ハンドルを切ったときに異音。クラッキング。
10月23日
街のガレージに行き異音の件を聞いてみる。おそらく CV Joint がイカレているからだろうとのこと。
CV Joint 右・車輪側のみ交換で200ドル(左右両方で400ドル)、エンジンのオーバーホールには2000〜3000ドルかかるとのこと。
What's
"CV Joint" ?
私が買った Mirage のようなフロントエンジン・フロントドライブ車(以下「FF車」)は、前輪で駆動と方向転換、両方の働きをしています。それを可能にしているのが CV Joint です。
FF車の前輪のエンジン側・車輪側それぞれ、左右であわせて4箇所にあり、車輪に動力を伝えながら舵を切る、という大事な働きを司っております。
10月26日
クリスと共に Cromwell(60kmほど離れた隣町)に行く途中、急にギアが入らなくなってしまった。AA に電話してレッカーしてもらう。
Kawarau Gorge Rd.を Bungy Bridge を越えたあたりから、道路は舗装こそされているものの上下左右にワインディングのすさまじいコンディションに。
地元出身で「この道なら目をつむっても運転できる」と豪語するクリスが、私のおっかなびっくりの運転にあれこれ茶々を入れてくるのがうっとおしかったことも手伝って、トップにシフトアップするのを面倒がってずっと3速で走っていていると、タコメーターの針がいきなりレッドゾーン近くまで跳ね上がった。
と、同時にエンジンも空ぶかしした時のように轟然と鳴る。しかしそれはほんの一瞬で、回転はすぐに元に戻り、急にスピードが落ち始めた。
ギアを何度も入れなおしてみるが、つながらない。なんとか惰力で広い路肩まで持って行き、停車した。しばらく2人してあーでもないこーでもないと復旧を試みたが、どーにもならず、結局 Cromwell に行って AA に拾ってもらうことにした。Cromwell に向かって歩き始める。
途中ヒッチハイクも試みたが道がひどく険しくままならず。
20分ほど歩いたところで Otago Gold Fields Park に着いた。
そこからまずは Cromwell 在のクリスの義理の兄に電話して拾いに来てもらった。
それから町のガレージに行った。
ガレージのボス、ロスの運転するピックアップで現場に戻り、牽引してもらう。まさかNZまで来て牽引される愛車のハンドルを握る事になろうとは思わなかった…
ガレージに預けて修理を依頼して帰る。
ロス曰く、
「ギアボックスやクラッチには異常ないようだ。たぶん CV Joint だろう。とりあえず部品交換してみて、それでも症状が改善しないようならギアボックスを換えるしかないね」とのこと。
帰りは夜になってからクリス共々彼の姉に Queenstown まで送ってもらった。
AA に頼んだレッカー1回目は無料。加入はしておいたものの、まさかホントに(しかもこんなにもさっそく)AA を利用することになろうとは思わなかった…
10月31日
朝のバスで Cromwell まで車を引き取りに行く。
右・エンジン側の CV Joint のゴム製のカバーをマウントにクリップで固定しなおして、グリースもあらたに注入しなおしておいてくれてある。
ギアの感覚が変わった(前より「ガキッガキッ」と言う感じ)ので最初もたついたがすぐ慣れた。まだクラッキングするけれど、処置してグリースも注入しておいてくれたと言う事だからまぁ良いか。90ドル。
今のところ約35リットルで約390km走っているので、大体の燃費は11km/リットルといったところか?
11月1日
昨日なおしてもらったところが、またクリップが外れているのを発見。中のグリースも全部飛んでしまっているようだ。
11月2日
また途中で止まらないかと心配しながらも Cromwell のガレージに車を持って行く。
目の前でもう一度なおしてくれたけど、クラッキングが収まらないので結局、右・車輪側 CV Joint を交換する事にした。中古の部品を発注するよう依頼して帰る。
前回のトラブルは、右・車輪側の CV Joint がイカレたことで右側のデフギアから右前輪に動力が伝わらなくなり、その結果、左前輪も動かなくなった、ということらしい。
デフギアの構造上、片側が動かないともう一方も動かない。クラッチはつながってもデフギアから先に動力がいってなかった、ということだそうだ。
11月3日
午後、郊外の Day Walk のコースに行った。現地到着してから何とはなしに車体下部を覗き込むと、なんとエンジンオイルが漏れているではないか!迷ったがこんなところで車が動かんようになってはかなわんので、仕方なく帰宅。
家で検査の結果、右・エンジン側 CV Joint の付け根からのオイル漏れ。平地でもちょっとアクセルを踏み込むとクラッキングするようになってしまった。
11月4日
Cromwell のガレージに電話。先日発注した CV Joint をキャンセル。現状では Cromwell まで自走できそうにないため。
Queenstown のガレージへ行き、とりあえずオイルの漏れを止めてもらう。ギアボックス・オイルだそうだ。右・車輪側 CV Joint の交換を依頼。左・車輪側も傷んでいるという話。いずれは交換しなければならないかも。
あと、どう見てもエンジン側に問題があるようなのだが、クラッキングの原因はあくまでも車輪側だとのこと。クラッキングについてはこの部品交換で解消されるとのことだが、エンジン側の方のオイル漏れも心配だ。工賃込みで232.50ドル。
11月8日
街中を走行中、この前(10月26日)同様、エンジンは良く吹けるが車輪に動力が伝わらず自走できない状態に。ギアボックスから派手にオイル漏れの模様。
ボンネットを開けて思わず失笑。右のドライブシャフトが CV Joint ごと根元からすっぽり抜けている。ガレージに電話してレッカー。
「多分ギアボックスに問題があるね。だとしたら Major Problem だ」
などと恐いことを言われる。
結局、ギアボックスをまるごと中古のヤツと交換する事に決定。また、この際ついでにと思い、左・車輪側の CV Joint も新品に交換。レッカー代もろもろも込みで、543.50ドル。
「バッテリーも古くなってるから交換した方が良いよ」と言われた。90ドルくらいからあるとのことだったが、さすがに今回はパス。頼むしもー壊れんといてくれ。
11月13日
Cromwell までテストドライブ。何か少し重たい感じもするけど No Problem。
11月14日
郊外を軽く流す。もう大丈夫そう。80km/hくらいが一番安定しているようだ。
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と、これでようやくコンディションが安定し、心配なく走れるようになりました。
12月に入ってからは果樹園での新しい仕事も始まり、通勤の足として毎日頑張ってもらいました。安定してからもエンジンオイルはかなり頻繁に注ぎ足してやらなければいけませんでしたが…。
NZの道路事情にもだいぶ慣れてきて、仕事が休みの日には
Queenstown や Wanaka、Dunedin まで足を延ばしたこともありました。
<NZの道路事情あれこれ>
道路事情と言えば、個人的にはなかなか厳しいと感じました。
簡単に言うと道路の方を地形に合わせているような感じです。トンネルや高架橋、切り通しなど、道路をなるべく「まっすぐ・なだらか・快適」にするような工夫はあまり見受けられませんでした。
逆にグネグネと曲がりくねり、または急な上り下りが繰り返されたり、といったように車にとってもドライバーにとっても「一生懸命走らなくちゃっ」って感じの道路です。
豪雨・洪水と、それに伴う崩落が頻繁に起こり得るという現実を考えれば、崩れやすいが修復も早くて安上がりな方が合理的なのかも…とも思います。
とはいえ、よく言われるようにコーナー毎に表示されている安全走行速度を遵守して運転すればそう心配することも無いです。交通量自体それほど多くはありませんし。
たまに後ろから煽られたりもしましたが、これも慣れてくれば見通しの良いところで左に寄りながら減速してやれば勝手に追い抜いていってくれます。
私の場合なにせ車齢20歳のロートルでしたから、100km/h まで引っ張り上げるのが大変でした。もっとも、そのスピードで走っていてもぶっちぎられてしまうことがままありましたが…
現地住民の交通事故の原因としてよく知られているのは飲酒運転。
Police が "If you drink drive, you're bloody idiot." とかいうスローガンで、かなりエゲツナイTVコマーシャルをシリーズで流していたほど(多分今でもやってると思います)の大問題。
一方、旅行者の事故で多いのは、路肩に停車して景色を眺めているところに後続車に突っ込まれる、といったようなケースだそうです。素晴らしい景色に夢中になるあまり、交通安全への配慮を忘れてしまうようで…危ない危ない気を付けないと危ない。
<つかのまの平穏>
アップルやアプリコットの間引きが一段落したこともあって、クリスマスの前後に1週間ほど休みがもらえました。
そこで Te Anau に行き、Kepler Track をトランピングしました。Kepler から戻ってから Milford Sound にも行ったのですが、あまりの道の険しさにエンジンがまたも不調気味になってしまいました。
年末年始はサクランボの収穫のため集中的に働きましたが、1月中旬には予定通り Cromwell を離れて旅に出る事にしました。
出発前にどうしても車のコンディションを万全にしておきたくて、ガレージに点検を頼みました。なんやかんやと出費がかさみ、安心して旅に出れるようなコンディションになる頃までには、経費は全部で3000ドル以上になってしまいました。買い値を思い出すのがなんとも悩ましい…。
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1月6日
ガレージに車を持って行って異音の原因チェック。
すっかりお得意さんになった感があるなぁ。
アクセルベアリングが磨耗しているとの事。
交換とついでにエンジンオイル補給。150ドル。
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Cromwell を離れてから、まずは Stewart Island に渡るために
一路 Invercargill へと向かいました。もうさすがにドライビング快調です。
Invercargill の YHA に車と荷物を預けて Stewart Island に渡り、
トランピングを満喫して帰って来ました。
準備は万全、いよいよ本格的に旅が始まります。まずは Catlins Coast 沿いを
一路北上し、Timaru から内陸に進むというルートを選びました。
そこで私と愛車ミラージュを待ち受けていた運命とは…。