1999年11月25日公開/2002年6月10日加筆・訂正



A:「どうもーっ」

B:「どうもっ」

A:「いやぁ、今日のお題は "Mt.Cook" っちゅうことで」

B:「はいっ、"Mt.Cook" ね。いやぁ、きれかったね」

A:「そうそう。ずっと晴れててね」

B:「君どうやの、あそこでなんか思い出すこととかある?」

A:「あるある」

B:「へぇ、聞かせてぇな」

A:「うん。あそこに Hermitage ゆう Hotel ありますわな」

B:「はいはい、Hermitage、僕ら貧乏人には全然縁のない高級ホテルやね」

A:「いやそれがな、ホテルのバーとラウンジは泊まり客でのぉても使えんねん」

B:「へぇぇ、それは知らんかった」

A:「でな、夕方ラウンジ行って、ふかふかソファに腰掛けて、真っ正面に夕日に

染まってピンク色の Mt.Cook を眺めるっちゅー贅沢をしてしもてん」

B:「あっらーそらまた」

A:「いや実際、贅沢なとこに建てたるわな、あのホテル」

B:「ほんまに」

A:「んで、くつろいどったら、バーの方からおっちゃんが出てきてなぁ」

B:「うんうん」

A:「ラウンジに置いたぁるピアノを弾き始めはってなぁ」

B:「へーっ生演奏付きかいな」

A:「おぅ、めっちゃ贅沢やろ。で、また弾き方も"爪弾く"っちゅうか

程好く抑え目でめっちゃえぇ感じやってん」

B:「おっちゃん、1人やったん?」

A:「奥さんも居ったで。そばで聞いとった。ほんで、2曲くらい弾かはった

んかなぁ、奥さんと一緒に帰ろうとしはったし、俺らちょっと拍手してん」

B:「おぅ、なんか照れるがな」

A:「おぅ。でもやっぱちょっと感動したしな。

そしたらおっちゃん、俺らに向ってゆっくりお辞儀してくれはって。

いやぁもぉ、めっちゃええ感じやったなぁ」

B:「かっこええなぁ、おっちゃん」

A:「そやろ?で、俺らも帰ろ思て歩いとったら、

おっちゃんら前歩いとんねん(笑)」

B:「なんやおっちゃんらも YH の客やったんかいな」

A:「そ。いやホンマ、あんなふうに歳食いたいな思たね」

B:「はぁぁぁぁ、えぇなぁ…」

A:「君の方はどないやってん?なんかええことあったん?」

B:「いや…なんかもぉな、"Mt.Cook" ゆうたら思い出してまうんやけどな…」

A:「なんやねん、はよ言うてぇな」

B:「いやな、あそこのビジターセンターって、本とか絵葉書とか売っとぉやろ」

A:「おぅ、いろんなんな」

B:「でな、そんなん冷やかしとったらレジんとこでなんかもめとんねん」

A:「うわーなんかイヤな展開やな」

B:「そやねん。日本人の中年の夫婦がおってな、なんや買いもんしようとして

カード出しとんねんけど、使えへんかってん」

A:「Visa か Master やったら、たいがいダイジョブやねんけどな」

B:「なんかどっちでもなかったらしいわ。で、センターのスタッフが

"使えへんよ"ゆうてんけど、わからんかったらしくてな」

A:「ふんふん」

B:「で、おっさん"これでどやっ"ゆうて、札入れから 万札ビラァッ って」

A:「うっわー最悪やな」

B:「それも一枚二枚ちゃうねんで。十枚はあったんちゃうか、

ウチワみたくビラァって(いや〜な手つきで)」

A:「きっつぅーっ。で、結局どうなってん、お勘定の方は?」

B:「なんや結局カードでどーにかしたみたいやったけど…」

A:「うっわー。でもばりばり "金持ちジャップ" 丸出しやん。たまらんなぁ」

B:「そ。も、たまらんかったわ。えっらい"ジャップ"ぶりで。

海外旅行すんなら現地の通貨くらい持っとけっちゅーねんな」

A:「なんぼパック旅行やゆーてもなぁ。ツアーガイドとかは何しとんねん」

B:「さぁなぁ」

A:「でもな、おっさんもな、多分内心ビビッとったんやと思うで」

B:「へ?、なんでぇ?」

A:「いや、なんかな、その"ビラァッ"ってあたりにな、虚勢を感じんねん」

B:「あーそーやなー、そーかもわからんなぁ」

A:「あかんでガイドさん、現地の通貨はちゃんと持たせとかな」

B:「ほんまほんま」

A:「いや、まぁ、ともかく、思いで深い場所ではあります」

B:「はいはい」

A:「どやろ、今度は2人して連れもって行かへん?」

B:「いや、遠慮しとくわ。

どーせ一緒に行くならおねーちゃんと一緒がえぇし。」

A:「ふんっ。なにゆーとんねん。俺ら同一人物やんけ。」

B:「なにバラしとんねんキミ」

A:「バレバレやって最初から」

B:「あ、左様で」

A・B:「んなわけで、シッツレーしました〜」

<おしまい>