2004年08月25日公開


2日目の朝は、まずはホテルのレストランで朝食。一般の客室の壁を二つ三つぶち抜いてつなげて改装したものらしい。チェックイン時にもらった食券を使って食事。

メニューはパンやコーンフレークなど中心の質素なもの。品数は少なかったが、普段、日本で食べている朝食と比べれば十分贅沢だ。しかも食べ放題なので腹一杯頂く。

アンガラ川の渡し舟。後方はズメナンスキー修道院

空模様が怪しいので、バイカル湖見物は翌日にまわすことにした。今日は一日、市内観光に費やす。

まずはホテルの前のキーロフ公園を散策し、スパスカヤ教会やパガヤヴレーニエ教会を見物する。

それから町外れの長距離バスターミナルまで歩き、そこから更にトルベツコイの家、中央市場、郷土史博物館歴史部などを見て回った。

夕方、再び中央市場に寄ってからホテルに戻る。

朝からかれこれ7時間、ひたすら歩き回ったので疲れた。

伝統的家屋

窓枠の装飾はロシアの木造建築物の特色だ。防寒のため窓は二重になっており、外側に設けられた小窓が可愛らしい。

住宅の建築現場を通りがかった時に見たのだが、煉瓦を積み上げて作った壁はかなり分厚いものだった。外観ほど内部は広くないのかもしれない。

また、特に古い住宅のコンディションは千差万別で、ひどくかしがって建っているものもあれば、しっかりとして見えるものもあった。

モザイク壁画

「シベリアのパリ」の異名を持ち、町並みの美しさで知られているイルクーツクだが、一歩路地を入るとスラムに近いような状態の場所もあった。

公共施設などにも整備が必要なコンディションのものが目に付くこともあった。

今日の経済・社会状況では、まだまだそういった部分の改善にまで手が回らないのかもしれなかった。

レーニンにちなんだ公園や広場もあり、ソビエト時代を偲ばせる。

夕食

夕食は市場で買った黒パン、魚の酢漬け、チーズに青リンゴにビール。〆て90ルーブルほど。

部屋は6階で建物の裏手に面していてた。当然、窓からの眺めも格段良くはなかったが、路地裏の様子が見れてそれなりに面白かった。

テレビを点けっぱなしにして日記を書く。やはり遅い時間まで明るい。

3日目には、今回の旅行のハイライトの1つ、バイカル湖観光に繰り出した。

9時発の路線バスに乗るつもりでいたのだけれど、昨日と違う通りを歩いたら思いのほか時間がかかってしまい、長距離バスターミナルに着いたのは9時15分頃。結局、路線バスも乗り合いタクシーもつかまえられなかった。

さてどうしたものかと切符売場をウロウロしていると、中年の男性に声をかけられた。白タクのドライバーらしい。交渉の末、彼のボロいLADAでバイカル湖畔のリストビャンカまで行くことにした。30ドル。

男性は、幸い英語がそこそこ通じた。道すがらガイドよろしくいろいろ案内をしてくれた。

それにしても、彼がこのオンボロのLADAでトバすことトバすこと。下り坂では160km/hは出ていただろう。バスでなら2〜3時間かかるところを1時間で着いてしまった。

途中、前方の登坂車線にバスが現れた。こちらもかなりの年代ものらしく、あえぐようにノロノロ上っていく。
「これ、あんたが乗るつもりだった9時のバスだよ」と、馬鹿にするかのように軽くクラクションを鳴らして一気に抜き去る。

車のオンボロさ加減では良い勝負だと思うのだが、まぁ白タクの面目躍如といったところだろう。私も気分が良かった。

聖ニコラス教会

リストビャンカでも一番大きい集落、クレストフカで下ろしてもらう。

ここにはニコリスカヤ教会という19世紀半ばに建てられた教会があり、当地の見どころに挙げられているが、他には特に見るべきものもない。

教会と集落の写真を撮ってから、湖畔の歩道をバイカル博物館まで歩いた。

湖畔の道路沿いには新興の富裕層のものだろうか、クレムリン(城砦)を模したらしい豪奢な住宅やホテル、カフェなどがいたるところで建設中で、かなり興醒めであった。

堤防に腰掛けようとすると、コンクリートの表面に正体不明の羽虫が群れており、近付くのすらためらわれた。そのまま歩き続けてバイカル博物館の前を通り過ぎる。

バイカル湖を望む

もうしばらくイルクーツク方向に歩いてから山手の方向に分かれる車道を上っていくと、バイカルホテルがある。

ホテル裏手の山からリストビャンカを一望出来るということだったので、途中まで上ったのだが、日差しは暑いは藪は深くなるはアブにはまとわりつかれるはですっかり嫌になっってしまった。

断念して引き返し、ホテルのベランダでアイスクリームを食べながらバイカル湖を眺めた。

こんな具合に、端的に言ってリストビャンカは期待外れだった。大きな湖面以外になにか見どころがあるわけではない。

リストビャンカまでしかいかないのであれば、高い料金を払って日帰りツアーで行くほどのことはないと思った。

湖の大きさという点にしても、湖畔を走る鉄道の車窓から眺めた時の方がむしろありありと実感出来たように思う。

冬には冬で違った趣があるのかもしれないが、次の機会があっても無理してまで寄らないだろうな…と思う。

帰りこそは路線バスか乗り合いタクシーに乗るつもりだった。しかしバスはなかなか来ないし、乗り合いタクシーも満車だったりで小1時間カンカン照りの道路端で待つ破目に。

結局、通りがかった地元の人の車に乗せてもらうことにした。

中年の運転手のオファーはイルクーツク市内まで80ルーブル。行きは30ドルだったから、1ドル=30ルーブルとすると10分の1以下だ。

ちなみにロシアでは白タクは違法ではないのだとかで、この男性もバス停に寄ってはバス待ちの人に声をかけていた。

車が走り出すとほとんど同時に通り雨が降り始めた。

かなり大粒の雨が激しく降った。ラッキーだったな。

帰りも小1時間のドライブ。ガイドブックを指さしてなんとか「中央市場まで」と伝えると、ちゃんと送り届けてくれた。

今日も中央市場で夕食を調達。パン、オームリ、イクラ、温野菜サラダ、ネクタリンなど。

サラダを買った店には朝鮮系の顔立ちの店員もいて各種のキムチも売っていた。食品に関して言えば、中央市場に行けば大抵のものは揃いそうだ。

翌朝と2回に分けて食べるつもりとは言え、オームリとイクラが高かったので1食換算250ルーブルくらいになった。さすがに高くついたかな…ちなみにイクラは100gちょっとで116ルーブル。オームリは一尾120ルーブル、しかしスリュジャンカのものほど美味しくなくて残念だった。

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午前中にホテルをチェックアウトし、夕方、列車の時間まではアンガラ河畔の銀行に両替に行ったり、再びキーロフ公園をウロウロしたりして過ごした。

良く晴れてアイスクリームの美味い一日であった。しかし、時期的にポプラの綿毛が飛散する最盛期だったらしく、町中至るところ白い綿毛だらけ。

排気ガスや砂埃もあいまって、花粉症がある私としては結構辛いコンディションでもあった。幸いウラジオストク以来、花粉症の薬を毎朝服用していたのでそれほどひどい症状は出なかったが…。

列車内も、乾燥しているだけでなく意外と埃っぽいので、呼吸器系の弱い人、花粉症のある人などはそれなりの用意をして行った方が良いだろう。


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